劇団離風霊船 山岸諒子の徒然をつづる雑感ノート 「ラ・ヴィータ・ローザ」です


by rosegardenbel
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世界の終わりに咲く  

                      *  *  *
     

今回は、自分のアイディアがけっこう採用された芝居でもありました。


ひとつ目は、おばあちゃんの金色のちゃんちゃんこセット。 

米寿のお祝いシーンで、クラッカーをバンバンするとか以外にも、
ビジュアル的に楽しくってばかばかしいもの、なにか欲しいなぁ、と思って。

あのいでたちって、カワイイでしょ?
とくにあの被りモノは。(大黒頭巾っていうんですって)

で、とりあえずお父さん=橋本に、アレ出したいって相談してみたら、
ああ、還暦の衣装ですね、って言われて、あ、そうか、
あれは60歳にしか着ないものなのか、と挫折しかけたのです。

ところが、田舎の実家の仏間には、
夫婦であの姿をしている、4代前のご先祖さまの写真があって、
そろって八十八歳祝いをできたのは大変珍しい、
というようなことが墨書きしてあったのを覚えてたんで、あれれ?と。

で、調べてみたら、確かに米寿でも着ることが分かったので、
演出からオッケーをもらえて、
衣装藩主であるうちのケー子=神谷につくってもらいました。

実際の大黒頭巾はつくるのに手間かかるんで、
シャワーキャップになっちゃいました~、ってことでしたけど。(笑)

ちなみに、還暦では赤、喜寿で紫、米寿で金か黄色、白寿で銀か白、
というのが定番色らしいです。

金!と選んだのは演出です。
は、派手じゃね?とビビったのですが、
大迫お義母さんは、違和感なく着こなしてましたね。(笑)
ふたつ目は、前にこの日記でもチラッとお話しした、おうちのセット。 

セリフから、古い立派な家を想像してたんですけど、 
日本家屋だとなんかフツーだなぁと思ってて。

まあ、囲炉裏まであれば、それはそれでスゴいんですけど、
舞台であんな吊るしものしたら、長すぎてなんだか分かんなくなっちゃう。(- -;)

それで、洋館ってどうですか?
と、舞監の青木に無責任な提案をしてみたところ、活きちゃったみたいで。

これはビックリでした。
青っちも、それは考えたことなかったなぁ、って言ってたんで、
まさか容れられるとは思ってなかった。

今回はスケッチもなかったから、言いだしっぺなくせにまるでイメージわかず、
劇場で実際に建ち上がったのを見て、おお!

さながら、マリー・アントワネットが出てきそうな、格調の高いお屋敷が出現。
しかし、住んでいるのは、
小市民にもほどがある、あのちまちまとしたマンガ家族。。。

いいのかほんとに。(笑)
まあでも、売ればすごいお金になる説得力は、ありましたもんね。

おじいちゃんは船乗りとは言いながら、きっと外国航路の船長さんだったんだな。
舶来かぶれ、ってことで、納得。(えー?)

でも、2階の内閣調査室とのコントラストは面白くつきましたよね。
一方そのころ内調では、って感じの同時進行の効果は、
絵なんかも掛けずに、茫漠感をかもし出せたリビングの賜物だったと思います。

そしてみっつ目は、ラストシーンです。

当初、ホンに書かれていたのは、全然ちがう終わり方だったんですね。

翌日になって、家族が出かけていくのを、わたしとおばあちゃんで見送る、
って感じで、日常に戻っていく。

で、書いてから演出が、そのシーンで使いたい曲を発見して。
例の、みなさまから多くお問い合わせをいただいている歌ですね。

この曲どう思う?と問われて、聴いてみたら、とてもワイドを感じたんですよね。
日常におさまりきらないような、大河的なおおきさというか。
歌詞もさることながら、突然ジャジーに変調するあたりのアレンジに。

それで、
なんかあたし…おばあちゃんのお葬式をイメージしちゃいます、
脈々とつながって受け継がれていく、見えない大きなもの、みたいな…

と感想を言ったらば、それが採用になっちゃったんです。(@o@)/

でもね、その方が大橋作品っぽいと思ったんだもん。
スパイシーな、辛いあたたかさが、大橋マジックの一つじゃないかなぁと。

人智をこえたうねりのような、大きな急転こそが舞台のゴージャスだし、
成功したらその瞬間って、もはやお客様自身の“体験”になるでしょう?

あたしにとって舞台は、ただ観るものじゃなく、
自分が体験したもの、になって欲しいんですよね。

たぶん、演出も同じことを思っていて、
一人でも似たイメージを感じる役者がいたら、ああ、この線を出しても大丈夫だな、
って、リサーチとして問われたんだと思いました。

やっぱり、ショックですものね、暗転明けの喪服というのは。

だからこそ、あのシーンは大事にしたくて、
無理を言って、和装での早換えになるように、衣装に仕掛けをしてもらいました。

嫁だし、あんなに命がけで家族を守ろうとしたお義母さんのお葬式なんですもの、
なんとしても正装したかった。
重みが、まるで違っちゃうでしょ、洋服じゃね。

なわけで、最後の最後まで、裏では一人だけはふはふ状態で、
汗みどろ街道を突っ走ったのでした。(笑)



例の曲は、KOKIAさんの作品です。
“世界の終わり”でアイチューンに当たってみたら、めぐり逢えたのだそうです。
(ドンピシャすぎる「おばあちゃん」という曲もあって、もちろん大迫の長ゼリで…)

科学的な展開の物語を期待された方には、え、なにそれ、だったと思います。

でも、うちのメンバーは、作家がこっちにハンドル切ってきたとき、
感動しました。
今の大橋さんの中には、こういうものがあるんだなぁと、ね。

みんなも年をとって、こういう話を照れたりバカにすることなくやれるようになった。

劇団って家族だから、イロイロイロイロ、山のようにあっても、
落ち着く先は、この話みたいなことなんだろうな、なんて、
少しの安堵を感じつつ。

大事なひとを、同じ時間の中で、大事にできたらいいですね。。。

なかなか、出来そうで出来ないことだけど、なにかね、わずかでも、
昨日と違えられたらいいなとは、
昨日より強く想うようになった、世界の終わり後、です。


                  

              お客さまがお庭から摘んできてくださった花、わすれな草


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by rosegardenbel | 2010-05-02 00:00 | ラ・ヴィータ・ローザ