劇団離風霊船 山岸諒子の徒然をつづる雑感ノート 「ラ・ヴィータ・ローザ」です


by rosegardenbel
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

暗くなるまで待って 

              *  *  *

風邪っぴきです。
楽日明けから、おんや?とは思ってたのですが、
翌日にはまたたくまに、嵐のような咳こみの日々に。。。

今は更なるお供に、滂沱の鼻水と5連発ぐらいあたりまえさのクシャミもくわわり、
さながらサルさんキジさんイヌさんのような三位一体症状に。
わだひ、桃太郎さんになってしまひまひた。

しかしこの三匹のお供は、見るからに伝染性が強く、
相手が鬼なら、まちがいなく地上最強のファイターですが、
無垢で善良な村びとさんたちには会うことができましぇん。

今日は今年の和田塾の初日だったのに、欠席です。
……がっくし。( _ _;)

これってさぁ、3月に稽古を病欠してたときと、まったく同じ症状。
もしやして、、、新たな菌でなく今までのが、単にお休みしてた?本番中だけ?
あたしゃ二ヶ月も風邪ひきっぱなしだったんかいっ。

でも、もしそうだとしたら、あたしって役者サンじゃ~ん、
だって本番中はぜんぜん鼻声じゃなかったし、自在に声のコントロールできてたもん。
風邪のコントロールもしてたんだぁ♪

と、そんなこと喜んでも薬にもならないですが (- -;)

三位一体といえば、先日の『ヘンシン』は藤原家のことです。
つい思い出すのは、芝居よりなにより、暗転。
今回は、暗転中に真のドラマが(?)あった現場でもありました。

客電がおちて真っ暗闇が明けると、寝てるおばあちゃんを囲む親子3人、
という病室の絵になってたでしょ。
あれはもちろん、藤原家が暗闇に乗じて、えっこらせっ、と、
ベッドを奥から運びつつ、板ついた(※1)わけです。

      丸諒の演劇用語解説 ※1 【板つき】 
      シーンの始まりには演者が舞台上のポジションにスタンバっていること。
      たいがい暗転中の移動であることが多く、これは「暗転板つき」と言われ、
      役者がトリ目、および運動能力不具合者、および小心者だった場合、
      明転で思わぬ絵ヅラを呼び込みかねない、恐怖の演出方法。

なんでえっこらせ、かと言うと、
あのタカ舞台の奥はとうぜんヒラ地で、あいだの段差はスロープで埋めていたので、
奥から出るものにとっては上り坂、
いきなりの坂道発進なワケですよ。

なにせお供は、劇団髄一の非力モノやまぎしと、(デカさは見かけだけ…ほっといて)
力はあるけど真っつぐにしか進めないタチの大矢、という二人ですから、
正味、おとうさん大迫ひとりで、軌道の微調整をしつつ押してたようなもので。
でもあたしたちも、気持ちはえっこらせ。(^_^;)ゞ

そしてもう一つ、えっこらせの理由が。。。
実はあの一階病室にいたのは、4人ではなく、5人。
あのベッドの下にはクリスチーヌ神谷がまぁるくなって、居たっ!のです。

あのシーンのあとは、まだまだ、
カフカの長ゼリ→病院チーム登場→彫刻→亡霊登場→服薬→ベッド移動
という、とてつもなく長い時間が流れていくわけで、
クリスチーヌはそのあいだずーーーーっと、飼い殺し(※2)。

      丸諒の演劇用語解説 ※2 【飼い殺し】 
      舞台上のあらぬ場所からの登場が指定されていて、
      かつセット構造上ウラ抜けが不可能だった場合、
      客入れ中からそこに隠れっぱなしで出番を迎える状態。
      何らかの不具合が生じてそこから出たい場合、
      どうしても客席に発見されてしまうスタンバイ方法のため、
      これを指定された役者が、とくにお腹の管理に命を懸けるのは必須。

一瞬にしてキヨコからクリスチーヌに変身するためには、その方法しかなかったの。
合掌。

駕籠のように紐にぶら下がって安定とりながら、
中でなーに考えてたんだろおねー、神谷。
まあ、他の追随を許さない真のぼけなすとして、更に成長いちじるしい彼女なので、
まわりは本気で、「神谷っ、寝るなよっ」と心配してましたが。
                          
                         倉林のブログ“ケログ”から拝借。
                         この吊る下がったごっつい紐がナニモノか、
                         ようやく分かりましたネ (^o^)v

そして、恐怖の暗転板つきは、ワダグジにもありました。
ラス前の、最後のお見舞いシーン、最初の絵ヅラに戻る、アレですね。
キヨちゃんの、「さよならセイちゃん」の長ゼリあと、迎えた暗転の中では、
それは美しい通行規制がかかってましてね。

セリフが終わって暗くなると、クルっとまわれ右する倉林、
しかしその段階で照明に目をヤられているので、正しいまわれ右かはいたって不安。

それを、伏せっ!していた竹下が、狂ったようにバタバタと手で探りまくりって捕獲、
ビタッ!とくっついたままスロープ左側くだる。
ヤツは直後に早がえがあるので、1秒でもはやくウラにつきたいっ。

同時に、奥壁ウラから、先頭大迫の脇と腕にがっちり手をはさまれたワダシ、
ワダシの肩をつかむ大矢、といった家族隊が列になって発進。
竹下たちの通行妨害にならないように、一通を死守しながらスロープ右側あがる。
目的地ベッドに到達。

しかし、ここからはそれぞれの旅。
どんな荒波も3人で乗り越えてきた藤原家からの、巣立ちのときです。

ベッドの握り手を持ったおとうさんの左腕を、
思わずマッサージ師のような力づよさで揉み揉みしながら、前方へとつたい歩き、
手はそのままベッドのアームつけ根に移行、それをガイドに更に前へ前へ!

最大の難所は、アームが切れたあと、
逆側の肘かけの先っぽを探り当てるまでの、大渓谷越えよっ。

こっ、このベッドったら足おき部分がでっぱってるもんだから、
草履に足袋という無防備このうえないこの小指を、
角にぶつけた日にゃ、まちがいなく「ぐおぅっ!」とか声たてることに…
いやが上にも慎重に、よよよっとまわりこんで無事に越えねばならない。

この難所越えのさなか、神谷がかぶってるシーツを、
何度かグチャグチャにかき回したような気もするがそんなこた知ったこっちゃねえ、
自分さえ「左の肘かけの先っぽ」というピンポイントにもほどがある目的地にっ、
とーたつすればいいのよっ!!!

しかしっ!
とーたつしても、明かりがつくまで自分がどこ向いてるのか分かんないのよぉ~(T T)
一度なんか明るくなっても目の前まっくらで、なにごとかと思ったら、
おとうさんの背広の腕に顔面くっつけてた自分に気づいて(●ー_ー;●)

おそるべし、暗転板つき。

初日まえのテクリハで、コレを明るい中で稽古したのですが、
感覚をつかむために、目をつぶってやるわけですよ、当事者は。
衆目にみまもられて。

この時のあたしは、巣立ってとーたつするまで、
眉間にしわ、そして食いしばった口、なぜか「あい~ん」状態、という、
この長い付き合いでも劇団員の誰も見たことがなかった顔に、
座頭の市っつぁんもやらないねという顔に、なってたらしいです。(号泣)

橋本に、すごいわ…、とつぶやかれてしまいました。
ってつぶやくなよっ、すごさ確定みたいじゃんかよっ。
あたしだけが見ていないというのがまた、、、いとせつなし。( _ _;)

出番はちょっとだったのに、登場前のウラ事情に神経の8割がいってたから、
舞台出てからの方が天国だったわ~。
二階のかげ段はハシゴだったし。
黒船にひきつづき、和服でハシゴ、、、リブレセンの八百屋お七とよんでくらはい。


・・・こんなんだものさ、風邪も出る幕ぁないわね。
あれ?なんか書いてたら鼻水が止まってきた。
パブロフの犬、てかもはや寅馬?(笑)

すみません、余韻をブチこわすような話をして。m(_ _)m
でも生きるって、こんなもんだからさぁ、かっかっか。

自分は、自分の元気といっしょに暮らしてるんだ、って、
そのパートナーをだいじにしてあげなくちゃ、って、
みんながいつでも忘れないでいられたらいいな、って、
とっても思いました、この芝居で。

                        
                 タイトルは言わずとしれたこの方の名作から。
                 あちらも必死でしたが、こちらも相当なモンで(笑)

              *  *  *
[PR]
by rosegardenbel | 2009-04-27 00:00 | ラ・ヴィータ・ローザ