劇団離風霊船 山岸諒子の徒然をつづる雑感ノート 「ラ・ヴィータ・ローザ」です


by rosegardenbel
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ロマンチック、ってなんですか? 

              *  *  *

今、わが国には、世界一聖なるエンタメの森から、
これまた世界一人気者のご夫妻、ブランジェリーナさん's が、
訪れているのですね。
もう帰っちゃったのかナ、てかまだ夫婦じゃないんだったっけか?

というわけで、暮れからあたしの心をソワソワさせている例の映画、
“ベンジャミン・バトン……”のことを、
いやが応でも思ってしまう毎日なのですが、
そういえば・・・と、ふいに、とあるお話を思い出しました。

『ジェニーの肖像』という小説です。

ベンジャミンは、どんどん若返っていくお話ということですけど、
ジェニーの方はその逆なんですね。
主人公と出会った少女は、会うたびに年をとっていくのです。
通常ではありえない早さで。

信じられないぐらい幻想的で、不思議で、
いつまでもいつまでも余韻ののこる、美しい純愛の名作です。

あたしにこの本を教えて下さったのは、中学校の時の国語の先生でした。

これがおもしろい授業で、教科書はほとんど使った記憶がない。
この時も、
 「ロマンチックってなんだか分かりますか?
  ロマンチックな経験、したことある人~?」
って、いきなり。
中学1年生にですゼ。(笑)

あの頃で、すでに40代にはなられてたんじゃないかナ、
やたらとデカい渋~い声で、ガハガハ笑うオッサン先生でしたけど、
怒るとコワかった~。
でも、こういう話の時は、隣に座ってる男子より少年みたいだった。

ワクワクキラキラした目で、生徒の話を、
うんうん!それでそれで?!って聞きたがるもんだから、
みんな調子にノって、色んな話が出てきましたネ~。
たのしい時間だった。

その中で、
「僕が今まで一番ロマンチックだと思ったのはねぇ、、、」って、
満を持して(笑)この物語のあらましをお話しして下さったのです。
その日のうちに、図書館から借りてきて読みましたヨ。

それは、もはや表紙も毛羽だって、フェルトのような手触りになった、
時間の匂いのする本で。。。

若い、貧しい絵描きの青年。
公園で出会った不思議な少女。
待ちくたびれた頃におとずれる、不可解で断続的な逢瀬。

少女は会うたびに、どんどん娘に変わっていって、
なぜなのか、誰なのか、何もわからぬまま、
彼女の肖像を描きつづける青年。

彼女にめぐり逢って、彼の世界はどんどん色づいていくのだけれど、
逢う時は、いつも霧のなかだったような。。。

とても悲しいお終いだった気がします。

よく覚えていないのは、たぶんかなり混乱したから。
13才の自分には理解しきれない、せつない不条理があったからじゃないか、
と、思います。
でもきっと、今よめば、悲しいだけじゃないんだろうな。
むしろ素敵~、理想ぉ~、と思うのカモ(笑)

たしかに、金森先生の仰るとおり、
その古い本のなかには、極上のロマンチックがありました。
ロマンというもののあたしの定義は、この読書体験で作られたんですよね。

思えば自分は、本当に、師という人たちに恵まれてきたなぁと、つくづく。
今のあたしの中核を成しているのは、
みんな、10代の頃に知ったものばかりだ。

何かに迷った時、美しいものにふれた時、
悲しいこととか、あるいは得意になるようなこととか、
あった時、
折々に出会った先生方の姿が浮かびます。
今でも、あたしの心の奥の黒板で、さまざまの白い文字を書き綴っている。

もしかしたら、もう二度と絶対、お目にかかれなくなってしまった先生も、
いらっしゃるのかもしれない。
知らぬまに。
けれど自分の中の先生は、あたしが死ぬまで生きつづけられるんですよね。

なんだか、急にこんなことを思い出したら、
次は何を呼ぶのか、
またちがう期待の衣もまとったようで、
くだんの映画にいくのが待ちきれなくなってきましたネ。

・・・『ジェニーの肖像』を思うたび、あの陽だまりの教室を思い出し、
『ベンジャミン・バトン』を観たら、ジェニーのことを思い出す。

あの頃の自分は、フィッツジェラルドのことも知らず、
知ることになるなんてことも、知らなかった。

その名を覚えさせてくれた人は、今はもう遠くにいってしまった。
だから、ちゃんと観ておく。
あの人が好きだった作家の映画なのだもの。

ほんとにバトンが、まわっていくようだ。
13才から、今まで、
時々のジェニーみたいな、それぞれの自分によって。

でもネ、あなたがあの陽だまりに繋がっていたとは、思ってなかったよ。


こんな輪転。
これが、あたしのロマンチックです。



              *  *  *
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by rosegardenbel | 2009-01-31 00:00 | ラ・ヴィータ・ローザ