劇団離風霊船 山岸諒子の徒然をつづる雑感ノート 「ラ・ヴィータ・ローザ」です


by rosegardenbel
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聖なる、ということ  

               *  *  *

帰京して数日がたちました。
すぐにはね、なかなか文字にも起こせなくて、気持ちは。
まあ、いろいろありましたよ。

母のそばでの生活は、症状に概ね快方をみることができたので、
多少なりとも行った甲斐はあったかなと。
とともに、自分がいかに、本当の自由の中で生きていたか、
家族という集団との時間をもって、つくづく身に沁みました。

自由人なんて種族には、自分は逆立ちしてもなれない、
とても遠いものだと思っていたのだけれど、
今のあたしは立派にその一員になっていて、
そうして、自由というものが、
もはや、思いがけないほど自分の渇望するものになっていて、
それなくしては生きていけないほどの自分に、
いつのまにかなっていて、、、
そんなことをね、夜の長さの中に、思った帰郷でした。

別れ際には、いつもベソをかく母なのに、
今回はずーっと、笑って手を振ったまま小さくなっていった。
心配したんだけど、、、急にいなくなったら反動が来るんじゃないかと、
でも、なんだかヤケにシャンとした母になっていて。
あたしの方が、弟の車の助手席で、気づいたら鼻をすすってました。
コイツに弱味は見せたくないので、
もちろん花粉症のフリをしましたけど。(笑)

都会に帰ってからは、いつも通りに、
エゴ以外の何ものでもないくだらない思いわずらいで心を乱し、
苦しくて、すがりたくて、這い上がってはまた落ちて、
そんな繰り返しに、性懲りもなく戻ってしまったのだけれど。
自由って孤独だな、なんて愚かな実感を引き寄せながら。

いい加減にもう、そんなものから解放されたくて、
何を思ってもどうにもならない苦しい日々にまみれてきて、
今朝になったら急に、ちょっと違うバイオリズムを感じたので、
感じたままに、電話をしてみました。

夕べ聞いた、自分の逡巡とはぜんぜん関係ない話が、というか、その人が、
とても気になったので。
劇団員なんですけどね。
その人は、この集団の中では、あたしが一番心を通わせられる相手です。
まあ、一方的にかとは思いますが、一番深い本音を話せる唯一の存在、
なのかもしれません。

だから、その人のこれからが気になって、
噂のようにあらましを聞いただけだったけど、
それは応援してあげたいなと、心から思ったので、
個人的な電話をするなんて、そんな珍かなことをしてみました。

気が、ね、動いてた。
電波の向こうからやってくる声には、ほんの少しの疲労と不安と共に、
進むぞ!っていう太い気が、あふれていました。
生きてるんだなー、って、感じた。
あたしの電話には、その人を思うというだけの純粋しかなくて、
それが、ちゃんと伝わったのも、ちゃんとわかりました。

エゴでないことをすると、人から洗ってもらえるんだ。

そのきれいが、とても嬉しかった。
その気持ちの往還が、自分を取り戻させてくれました。
うん、あたしまだ、全部よごれてるわけじゃないんだ、って。

できるかぎり毎日、帰京以来、母に電話をしているのだけど、
今日の話の中で、思わぬことを言われてちょっと驚いた。
「おまえ、男っぽくなってたからびっくりした」
って。

その前の日の弟との電話で、姉貴、立ち居振る舞いがガサツになった、
とダメだしされていたので、げげ、そゆこと?
とビビったら、母が言いたかったことはちょっと違ってた。
いわく、、、あっさりした人間になった。

そうかぁ、、、そうなのかなぁ、、、かもね。
とくに今、執着というものを捨てよう捨てようとしているから、
よけいにそうなのかもしれないけど、
逆に、
そう言われるってことは、そうなってきているってことかな、なんて。

本人の方が自覚がないのに、さすが、腐っても母。
自分の日々の記憶は薄れていく一方なのに、
娘のことは別の目で看破するんだな。
少し安心、そんな安堵がまた、少しせつなくもあったけど。

だって、あっさりしてた方がいいじゃないですか。
だって、みんな一生懸命せいいっぱい、自分を生きているんだもの。
だって、自分のことなんて、どれほどの小さいものでしかないか。

その小ささに振りまわされて、自分でいらぬ悩みを生み出して、
あげく人さまに恨みつらみを向けるなんて、
お門違いもいいところで。。。

できるかぎり、ね、人とはしあわせに関わりたいじゃないですか。
今日、劇団のコと喋ったのも、根っこはそこのみが動機だし、
通じ合えたって思えたら、他の人にもそれ、試してみたくなるでしょう。
そうやって広げていけたら、
人は、悩みの大半は手放せるのかもしれない。
たぶん、戦争も起きないぐらい、、、かな。

だから、許すのよ。
許すなんて言葉もおこがましいぐらい、
自分ひとりの思い上がりでしかないんだから、
人を受け入れ、人を支えにすることなく、人の支えになれればラッキー、
ぐらいのところに、いつも還りたいものです。
なかなか、、、なかなか、できないですけどね。

よかった。
なんか、久々に心が晴れた。
そうね、でもやっぱり、人は人に支えてもらっているんだよな。。。
ありがとう。

田舎にいた間、毎日見守ってくれていたのは、山です。
    
この気高き神が、この町にはこうしてかいなを広げて、いるのです。
いつも、いつの日にも変わらず、ね。。。

あたしは、ここで、生まれ育ちました。
これだけは、何はなくとも絶対的に自慢できることです。
この山すそに育まれたわたしなのだから、大丈夫、
なんだかね、そんな理屈にならない誇りは、
常に鎮座しているのかもしれない、あたしの中で。

その直前には-18°を記録したぐらいの極寒の冬が続いていたのに、
あたしが帰郷した日から、一気に春めいたのだそうです。
青空にならないと、この神々しさには触れられないからね。
ラッキー。

そして、恩愛と、エールと。
いただけたのですね。。。
ありがたく、胸にきざみました。

この白亜は忘れまい。
母も、あのコも、あたしも、あの人も、生きている。
ただひたすら、よきものを目指して、一生懸命自分を生きている。
ふり仰げば、
悲しみも憎しみも、嫉妬も嫌悪も、すべて包んで真っ白に、
ただ立つ山が、そこにある。

なんたる安らぎ。
朝焼けのしずけさ、真昼のまぶしさ、黄昏の彩り、真夜中の星くずの中で、
山はただ、そこに立っているだけ。
変わっていくのは時間の方なんだよな。

不変。
そのうつくしさを思う。
少しの畏れも感じながら。
決してそうはなれないものだから、ねえ。

生きて、いきましょうね。
それぞれの場所で。
人はもともと独りなのだから、分かち合えるということ自体が、
きっと奇跡なんです。
だから、それができた一瞬は、
人は本当にきれいにいるのだと、思うのです。
その一瞬だけは、あの白亜のかいなと同じになれたかな、と思うのです。

あたしも生きていきます。
あなたも、自分を生きてください。
好きなだけ、勝手に、ひたすらに。
それでいい。

今日は心から、そう思えます。
電話、してよかった。

               *  *  *
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by rosegardenbel | 2008-03-27 00:00 | ラ・ヴィータ・ローザ