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劇団離風霊船 山岸諒子の徒然をつづる雑感ノート 「ラ・ヴィータ・ローザ」です


by rosegardenbel
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石の華

               *  *  *


昨日、一枚脱いでみた。
そしたら、今日の目覚めは楽になってた。

捨てることは、まだできないけど、
とりあえずたたんで、足で、ちょっとずつ、遠くへ追いやってみてる。

どうせまた着ることになるんだろうけど、
でも今回は気持ちがちがって。
悲嘆にくれるとか、自分を責めるとか、そうでなく、
はじめて怒りがわいてきたから。

たたんだものを、上の方から眺めてみて、
ほっとこ、
そう思っている。

よろこびの音が鳴らなかったら、たぶんもう着ないな。
それを悲しいとかさみしいとか、思うことも、ない気がする。

脱いでこれだけ楽になったということは、
やっぱり相当チクチクしてたんだ。

置いてるあいだにシルクに戻ってくれてたらいいけど、
んなこたぁありえねえ。

一枚脱いで、景色は変わってみえるだろうか。
寒いと思うかな。
涼やかと思うかな。

あんまり外には出たくないな。
脱いでいるのが普通になりたいから。
いま出たら、着たくなっちゃうから。

だから、絹の肌触りは思い出さない。
ぜったい。
石の心で、その無機質をたのしむのだ。

うつくしいものが見たい。
うつくしい安らぎだけがほしい。


夢もなく 怖れもなく


イザベッラ・デステの言葉。
生涯、自分とは相容れないと思ってきたこの言葉が、
今は安らぎをくれる。

そう、怖れを抱くのは、期待があるからだ。
期待しないものになった時、
それは自分の先々に響いてくることはあるのだろうか。

些末に右往左往するのが人生と、
それは今でも思っているけれど。

夢もなく怖れもなく。
そういたいと思っている。

少し、悲しいかもしれないけれど。
悲しいのも、夢の名残り。
ただそれだけ。

夢はみまい。
ただ、ここに自分がいる。
それだけでいたいと、ただ、思う。


               *  *  *
by rosegardenbel | 2008-03-03 00:00 | ラ・ヴィータ・ローザ