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劇団離風霊船 山岸諒子の徒然をつづる雑感ノート 「ラ・ヴィータ・ローザ」です


by rosegardenbel
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へび姫と石の百年

             *  *  *
  素敵な映画に逢いました。

『プリンス&プリンセス』という、フランスのアニメーション映画。
BSをつけたら絵がポーンと飛び込んで来て、あまりに美しい不思議さに、
思わず最後まで見てしまいました。
ミシェル・オスロという監督の作品で、全部で6話あるらしいのですが、
あたしが見たのは4話目の終りから。
それは、どうやら老婆に翻弄される盗賊の話みたいで、
日本の浮世絵をもとに作画したらしく、お婆さんなのに髪型が花魁。(笑)
どことなくチャイナな風情もあって、摩訶不思議な世界。

打って変わって5話目は、紀元3000年の冷酷な女王さまのお話。
簡単に人を殺めるので、国民からは怖れられ、
本人は思いっきり孤独という中で、唯一彼女の心に触れたのが、
うつくしく淋しげな声で唄う啼き鳥。
女王さまは、空飛ぶマイカーに乗って広場にやってきて、
鳥屋から啼き鳥を買おうとするのだけれど、
鳥屋は代金を受取る代わりに、無謀にも彼女に闘いを申し込みます。
負けたら死、勝ったら女王を妻にするという約束で…
でも女王には、どこに隠れてもぜったい見つけられる透明光線と、
ぜったい外さない殺人光線があるので、鳥屋の死は確実なのです。
いままで、女王を妻にしようと挑んで来た何百人が消えてしまったことか。
女王は鳥を連れ帰ると、
パラボラアンテナで鳥屋の姿を探し始めるのですが…。

6話目は、永遠の愛を誓いあったプリンスとプリンセスのお話。
初めてのキスを交わした途端、プリンスがひき蛙に変身してしまいます。
もう一度くちづけすれば元に戻るハズと、蛙が無理やりキスをすると、
今度はプリンセスがナメクジに変身してしまいます。
びっくり仰天した二人は、元に戻るまで何度もキスを繰り返すのですが、
その度に、象だのノミだの鯨だの、あらゆる物になった挙句、
ようやくプリンスとプリンセスの姿までたどり着くのだけれど…。
お、思わず筋書きまで書いてしまった。 
面白かったです~。
世界に冠たるアニメ王国じゃぽーんだけど、こういう深い味わいのものは、
作れるかなぁ。
おフランスと聞いて納得な、絵もお話のエスプリも、大人の絵本て感じで。
もちろん子どもが見ても全然安心な内容なのだけど、
小さい時からこういう世界に触れられたら、美意識高く育つよなぁ~。
かなりうらやましい話。

繊細な絵とともに不思議感を醸し出していたのが、
日本語吹き替えの3人の俳優さんです。
ことに原○知世さんの声がとても合ってました。
悲しかろうが嬉しかろうが、老婆も王女もプリンセスも、
ぜーんぶ一緒の無表情。(笑)
だからこそ、声の透明感がいっそう際立って、影絵の世界の印象が、
とても清冽になるのです。
前に、青山円形の客席で見かけたことがあったのだけど、
マジにそこだけ光ってて、ん?と見たらばこの方だった。
その、圧倒的にうつくしい、ガラス細工の白鳥のような存在感に、
わ、このひと、ただのアイドルじゃないわ~と確信したです。
けっこう年イってるだろうに、少女の頃とぜんっぜん変わってないのが、
凄いってゆーか、コワイぐらいでしたね~。

この映画、レンタルされてないかな。
みなさんにもぜひ知って欲しい世界だわ~。
買っても後悔しないナ。あまぞんで注文しちゃおうかな。
てか、劇場で見たいよ。
大スクリーンで見たら、もお~夢心地だと思いますヨ~。


そうそう、プリンセスと言えば、例のねむり姫ネ。
あれは数ある中でも、
お姫さま物語のロマンチックが全部入ったお話だと思うんですよワタシ~。
糸紡ぎの予言、15才になったら刺されて死ぬって分かってるから、
読者の子どもたちは、ダメだよぉ塔に行ったら糸車があるんだよぉー、
ってハラハラドキドキ。
で、案の定刺されたところであたしは、バッカじゃないのなんで行くの!
って本気でムカフンになってた。(笑)
この、塔と糸紡ぎってのが、
あたしに初めて外国を意識させたものかもしれない、憧れましたネ~。

で、刺された瞬間に時間が止まっちゃうでしょ、ぷつっと。
お城中の人々はもちろんそのままに、走っている馬も犬も、
転びかけたコックさんがぶち撒けたパンまでも、泉の水の飛沫さえ、
空中に浮かんで眠っちゃう。
しずかなふしぎのせかい。。。
今から思えば、誰がオ-ロラ姫をしとねに運んで手、組ませたんだろ?
と思いますが。(笑)

そしてその中で、茨だけがぐんぐんぐんぐん、
ありえない勢いで伸び盛って、
とうとうそこは、深い薔薇の森になってしまう。
中にお城があることなんて忘れられてしまった、百年の眠り…。
森には秘密が眠っているの。
それはそれは甘美な魅惑が、茨のトゲに守られてこんこんと眠っている…。

この、薔薇が覆い尽くすってイメージが、スゴくないですか?
茨だから、ホントは林檎の花みたいな、
ひと重咲きの白いオールドローズなんでしょうけど、
あたしはやっぱり、赤いつたバラで想像しちゃいます。
このイメージが大好きで、今でも時々、薔薇のアーチのお家を見かけると、
いいなぁって足を止めちゃいますね~。

あたし的には『ねむり姫』のお話はここまで。
王子がやってきてオーロラ姫にチュ-する件はもうどーでもいいの(笑)
まあ、そこが一番待ってましたのロマンチック・クライマックスですケド。
あ?
うーん、そっかぁ。。。そーなのかも。
いやいや、
深い森の奥に、さらに薔薇の森があって、お姫さまが100年眠っている、
とは、深層心理学的に言えば、かなりな処女性堅持のお話で、
そういう方向性は自分にはあまりないと思っていたんですが、
実は意外に異性に対して拒絶感が高い方なのカモ、なんて、
ウッソ~?! って感じですけど、ええ、なんか最近思うようになっていて、
この話を書いていたら、図らずもそれが証明されたような気が、
してきちゃいました。

そうそうこれも最近、某所の某お人にお姫さまみたいと言われて、
それは褒め言葉として言って下さったのですが、
この年で。。。だはは。コッ恥ずかしーぃっケド複雑ぅ。
それでまた思い出した。
そー言えばあたしをゴーゴンと呼んでた男がいたわっ。
(byこばやしatリブレ)
見ると石になるーってなんてことをー!ぷんぷんっ。
と昔言われるたびに怒っていたのだが、
あのへび女の性質もねむり姫とおんなじなんだよな、
石にして侵入者をブロック!
まさかなぁ、ヤツがそこまで看破していたとも思えないけど、
な、なんなんでしょうね。
人様の方がイロイロ見えてるってことでしょうか…
あな恐ろしやー!
もういい。合体させてへび姫さまって呼んでいいよ。
ただし…
石にして100年眠らせるのが得意ワザ… 
ひ~ひっひっひ。マイッタかっ!

             *  *  *
by rosegardenbel | 2006-08-08 00:00 | ラ・ヴィータ・ローザ