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劇団離風霊船 山岸諒子の徒然をつづる雑感ノート 「ラ・ヴィータ・ローザ」です


by rosegardenbel
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言葉。ことば。こだま。

              *  *  *

ボロボロ、いや、カサカサ、いや、ヒリヒリ、うーん、ジリジリ、…か?
なんてーか、心が。
稽古に進歩がない。自分の馬鹿さ加減を嫌というほど知らされる毎日。
上からも下からもダメダメダメダメの嵐。しかも無言の嵐。
言葉にしない分だけ余計に肌身に突き刺さってくる、ちょっとした軽蔑。

結果は性急に求められ、待ちは敗北でしかない現場。
得手不得手なんて、何の許しにもならないわけで。
そうすると一番肝心なモノをつい手放してしまう。
楽しむこと。
楽しくないんだ、誰かの為か自分を整える為にやる事なんて、楽しくない。
楽しくない事はやっちゃダメだ。
楽しくなるコトを、血ヘド吐いて探し続けるのだ。
ダメダメの嵐が真後ろに迫っていても、狂ったように楽しくなれる事だけに向かうのだ。
ある意味、馬耳東風。大手を振って厚顔無恥。
これってあたしが最も嫌ってきたもの。
うん…そっかあ…。

「赤ちゃんになれ」
知念さんが下さった言葉が、ふいっとよぎる。

そう、今日はもう一つ、思わぬ言葉と巡りあった。
歌人、林あまりさんからの原稿。
制作の落合さんが黙って見せてくれた、送られてきたばかりのファックス原稿は、
パンフレットの為に書いて下さった文章だった。
その、目を見張る美しい文字の流れの中に、あたしの事が書かれていた。
'89年の 『新劇』 でも、林さんはあたしの事に触れて下さっていた。
代表作がないと言われ続け、色んなものに負けて来た自分に、
林さんの言葉は秘かな自負心を持たせて下さった。
それはあくまで、小さなひとときの煌めきだと戒めながら、
あたしの中では誰にも見せない勲章となってピカピカして来た。
たとえ林さんの中で、すでに消えてしまっている事だったとしても、
あたしにはその事実があったというだけでよかった。
それが…
16年が経った今なお、林さんはずっと心にあたしを生かして下さっていた。
なんという…なんという…
涙が吹き出して止められなかった。
こういう気持ちになったのは、生まれて初めてだった。

いい言葉。いやな言葉。
みんな想いを紡ぐもの。
いろんな言葉が、今、あたしの明日の前で溢れている。

 いつまでたっても来ぬ人と 死んだ人とはおなじこと

林さんの 『夜桜お七』 のこのフレーズが、頭の中でずっとこだましている。

              *  *  *
by rosegardenbel | 2005-10-20 00:00 | ラ・ヴィータ・ローザ