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劇団離風霊船 山岸諒子の徒然をつづる雑感ノート 「ラ・ヴィータ・ローザ」です


by rosegardenbel
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8月のラヴレター

              *  *  *

夕べは“8月の会/棚から牡丹餅稽古週間(笑)”第二日目でした。

スタジオの都合で、この1週間は事務所を使っての稽古ですが、
なんたって『8月のラヴレター』(まだ仮題デス)はリーディングだから、
狭い場所でも出来るのがステキ。
みんながおデコを突き合わせるように一緒に作品世界に入って行く、
この集中はなかなか気持ちイイもんです。

セリフの一つ一つを丁寧に解釈し、
裏で動いている気持ちのスペクタクルを掘り下げる。
そうして、
一人一人の感じ方、受け止め方の違いが浮き彫りになると、
自然とそれぞれの実体験エピソードなども転がり出てきたりして、
びっくりしたり共感したりしながら、新たなイメージが膨らんで行く。
すると、
次に読む時には、そのことがちゃんと反映されて、
単なるセリフが“思い”に変わっている。
それは、
聞いていても明らかに解るから、
みんな人のセリフにも掘り下げ甲斐が生まれて、
早く次のセリフも深めたくなる…。

ほんと、ゾクゾクするほどスリリング・・・。

本来の終了時間は22時なのですが、
この『8月のラヴレター』は、誰も定時に帰ろうとしません。(笑)
もっと演りたいという思いが、ひたむきな熱を生み出して、みんな、
ぜんぶ吐き出さないことには帰るに帰れないみたい…うん、素敵。
素敵だ!

夕べはそれが嵩じて、貸し出しの終った地下のスタジオに降りて、
あらためて稽古をということになったのだけど、その時点ですでに22時!
…こんな熱心な状態がかつてあっただろうか(笑)。
いやいや、上での読み合わせでとってもイイ感じのところまで行けたので、
みんなソレを一刻も早くちゃんと自分のものにしたかったんですね。

せっかく広いスペースに来たのだから、
あえて普通の芝居のように動くことにして、
あたしとは別のペアの稽古をはじめました。
リーディングでは実感できなかった、“生身の相手”。
ちゃんと見て、触れて、気持ちの揺れをつぶさに感じて、
それによって生まれた自分の気持ちをまた返す。
気持ちで響きあう。
気持ちが身体を動かす。
それを体感できるのなら、稽古の現場に掟なんて物は存在しないのだ。

演者4人という規模だからできる事を、あたしは今回やりたくて…
自我が消えるほど夢中になって、そこに“生きる”ということ
それをやりたかったのです。
それは去年、『リボンの岸。』であたしが哲さんから貰ったもの。
大事な大事な、演ずる者としての支柱になったあの体験。
そういう時間を、この8月のメンバ-にも獲得して欲しかったのです。
そして、
夕べのスタジオは・・・

素晴らしい稽古になりました。
演者の二人は、シーンを繰り返す内にぐんぐんその世界に入り込み、
ついには心の奥に絡んだ根っこを全部ほどいて、
ただ無垢に、裸の自分を晒し、委ね、
そこにいる事そのものになっていきました。
それが本物だったから、そのシーンが過ぎても切れることなく、
残るペアのあたしたちも心の内からほとばしるように、セリフ、
いえ言葉を、かぶせていました。
全員が予期せぬ感情に見舞われながら、気持ちの嵐をぶつけあい、
とどまることなく沸き上がる自分の内なる激情に翻弄されたまま、
気が付けば、ラストシーンまで終っていました…。

しばらくは、みんな自分に戻れませんでした。
言葉を発することが出来ない。
けれど無言でいるのは苦しすぎて、
でも出て来るのは雄叫びに似た慟哭だけ。
何か、声を発せずにはいられない、心の原始の状態。。。
作品世界の中で、解放しきった無防備な自分に、
つぶてのように打ち付けられる相手の気持ちは芯から痛くて、
今まで感じた事もない苦痛に洗われながら、役と自分を往還する、
そのエネルギーの大きさを体験して、みんな圧倒され尽くしていました。

ヘトヘトです…(笑)。
哲さんが言っていた「心を動かすのは身体を動かすより疲れるのよ」
それを、また実感しました。
夕べはきっとみんな、疲労困ぱいしながら眠れない状態になったでしょう。
役者って、
こういうことを知ってしまうと深みにハマってっちゃうのよね~…。

いい稽古場です。
あたしが一番ダメかもしれない(笑)いや、マジで。
本当に天からのお恵みのように貰えた時間だから、
密度の高い、熱っぽさを極めていきたいです。
演ずる事を手放して演じたい。
自分だけれど役でもある。自分だけじゃないけど役だけでもない。
うん、その一点、そこをを探して、シンプルにマリ-になりたい。
うん。マリ-になりたいんだ、今回初めてそう思えた気がする。


    ↑
:悶絶している8月の人たち:
写真を載せるって言ったらこんな反応に…
もお動くから~ボケボケじゃ~ん(笑)

              *  *  *
by rosegardenbel | 2005-08-31 00:00 | ラ・ヴィータ・ローザ