劇団離風霊船 山岸諒子の徒然をつづる雑感ノート 「ラ・ヴィータ・ローザ」です


by rosegardenbel
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或る夜のできごと

              *  *  *

“8月の会/棚から牡丹餅稽古週間(笑)”が始まりました。
また後日書きますが、稽古が、とってもスリリングで楽しいのです。
普通のホンなのに、まるでミステリーを解くように解釈に夢中になっちゃって、
面白いから、ついつい終電ギリギリまでやっちゃう(笑)。

そんなわけで、
人さまが眠りにつこうという時間に帰宅する毎日ですが、
今日は駅前のコンビニに寄り道しました。
頭の中がいっぱい埋まると、お腹の方はスカスカになるようで…だは。
お気に入りの取れ立て弁当“トマトとモッツァレラのパスタ”の温め待ちの間、
稽古場から持ち帰ったペットボトルを捨てようとコンビニの外に出たら・・・
ミョ~な人に遭遇したのです。

なんかね、吸ってた煙草をあたしのすぐ脇の灰皿に置いてお店に入ってったの。
置いたの。火ついたまま。穴に落すんでなく。火種をつぶすんでもなく。
って置きタバコかいっ?!
ええええ~?!ここでするかオキタバコっ?!
物色とかしてすぐ戻ってくる気なのか?で、でも危ない、よね?
ええええ~?!コレ、あたし、のおーしたらいいのお?!
消しちゃったら怒る?吸いさし、けっこう長いぞ、どう見てもまた吸う気まんまん。
これは、かなり所有権の在り処を主張している消しづらい風情…
ちょっと待てよ。
あたしがこの灰皿界隈にいた事はヤツの中にはインプットされているハズ。
するってーと消したのはあたしだって、すぐ分かっちゃう。

ヤツは…目つきが怖い。てれんこてれんこしたその歩き方も怖い。
その上かなりのガタイ良し。
パチンコ名人のもと子役内山信二クンの人相悪くして色黒くしたみたいだ。
おそらくは、若い頃目指した柔らの道の厳しさに負けて挫折、
今や単なるものぐさな30代独身にして、
所在なくその体格を持て余す胡乱な輩に成り下がり、
鬱憤の捌け口を求めて夜な夜な健全なコンビニに現れ、
オキタバコの罠を仕掛けて、
お節介なオバチャンという又とない獲物がかかるのを、
手ぐすね引いて待っているのに違いないっ。
…その男凶暴につき。
ぎぇー!消したらギロッとするっ?こあいですー!(広がる妄想)
でもでも、危ないよー、コレ地面に落ちちゃったら…

わかったよ。まつよ。あんたがでてくるまでここで番するよ(泣)。
だから早く出て来て。一周したら出てくるよね、出てコレまた吸うんだよね、出て…
来ないーっ!!
ドリンク手に持ってしげしげと見つめたままフリーズしてる…
あにしてんだよお!
しかも遠目にも分かるそのドリンクが、怖いいい!なんでゆんけるー?
更によく見たらこのタバコ、ロングサイズ…とーぶん長いままー!(号泣)

その時、灰皿の上にニュッと手が伸びて来た。
思わず確認した本体は、茶パツ20代後半木村一八崩ス広告業界系。
その木村一八崩スは、ケータイで喋りながら吸い殻を灰皿の穴に落した。
一瞬その手が、くだんのオキタバコの上で、ん?と言ったように見えた。
あ!おニイちゃんオキタバコ消してくれるのっ?

「だってエリカ店にいなかったからさぁ、フラれたって思った…うふふ」
期待も虚しく、その手は茶パツのかき上げというお仕事に向かってしまった。
がっくし。。。
木村一八崩スは店に入るでもなく、
そのままそこで“エリカ”と“うふふ”を乱発している。
夢中だよ…真横にあたしがいるのにぜんっぜんノープロブレム。
人の気も知らないで…
あなたの横にいるのはそーは見えないかもしれないけど吸いさし煙草の番人なのよ、
自然があたしをそう任命したのよ。
ぐっすん。
うううう、う~ち~や~まーー、早く出て来いよー。なーにしてるん…げ?
今度は豆腐持ってフリーズしてる…なんでいちいち凍るのよっ。
タバコは?さっきあんなに丁寧に置いたコレよコレ、どーゆー神経してんのよ?

ダメだこりゃ。
知らない。もおー知らない。あたし店に入るからね。早くしないと、
「トマトとモッツァレラのパスタ、お待ちのお客様~」
って大声で呼ばれちゃうじゃないのよっ、恥ずかしいのよアレっ!
「キョ~っキョっキョ」
突如発せられたけたたましい音にギョッとすると、
木村一八崩すの笑い声だった。
ビックリした。アカゲラが鳴いたのかと思った。
う~んエリカちゃんにとって君はたぶん只のお客様だと、いま確信しました。
すると木村一八崩すは、とーとつに内山の吸いさしを取った。
え?!捨ててくれるのっ?
なーんだ気付かぬフリして実はちゃんと気にしてたのね!
けっこうデキル男かもしんない木村一八崩すってば。アカゲラでも許すあたし!
エリカ、オススメするわよっ!・・・え?
ぇえええええええっっっっっ?!?!?!?!?!

吸った。

木村一八崩す、内山の吸いさしを、吸いました。
自分が火ぃつけた煙草のように、ものすごくフツーに…。
そしてまたアカゲラになってます…。

あんびりーばぼー。。。

“トマトとモッツァレラのパスタ”を持って店から出ても、
木村一八崩すはまだアカゲラでした。
そして、内山はと言えば、
オキタバコのことなんか、まーるですっかりぜんぜんまったくまるっきり忘れて、
通りの向かいに止めてあった足立ナンバーの個人タクシーに乗り込みました。
そう、内山はタクシー運転手さんだったのです。
ハザードを付けたまま、丸ッこい寄せ豆腐と格闘してます。
お腹空いたのね、でもダイエッターなのね、
んでもってユンケル飲んで足立まで帰るのね、そーかぁ。よしよし。
振り返ると、木村一八崩すがちょうどあたしを追い抜こうとしているところでした。
一瞬、目が合いました。
電話を終えた木村一八崩すの顔は、今日見た中で一番キリッとしてました。
内山の煙草をつまんだ左手に、指輪が光っているのをあたしは見てました。
歩いて帰るんだな~。

なんだか。。。
変な夜でした。

              *  *  *
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by rosegardenbel | 2005-08-30 00:00 | ラ・ヴィータ・ローザ